くちもとの治療をお考えの方へ

  • 普通にしていても、怒っているといわれる
  • 人前で思いっきり大きな口をあけて、笑えない
  • 口を閉じようと思っても、力がいる
  • 下あごが曲がっているので、写真をとられたくない
  • ぼーっとすると、すぐ口が開いてしまう
  • 写真を撮る時、あごを引いてくださいと言われてしまう

 
こうした症状は、多くの場合かみ合わせに問題があります。
かみ合わせの問題には、さまざまなタイプがあり、また各症状によって治療方法もさまざまです。
ここでは、みなさまが抱えていらっしゃる症状について説明し、その中からどのような方法を選んだらよいのかについて、順に解説していきます。

 
下あごが出ている
(受け口、反対咬合)
上あごが小さい、下あごが大きい、あるいはその両方がある場合に生じます。あごのサイズだけでなく、上下の歯の数の違いや大きさの違いによっても、生じます。下あごが長い印象となり、顔の真ん中も凹んだような症状です。
 
口もとが出ている
(上顎前突、出っ歯)
上下顎の歯槽(歯ぐき)の部分が前に突出した状態で、出っ歯とも言われます。口もとが突出し、唇が閉じにくくなります。歯ぐきの骨に問題がなく、歯だけが前に出ている場合もあります。おとがいが小さいこともしばしば見られる症状です。

 

くちびるが薄く顔が短い
(上顎後退)
なんとなく顔が短い感じがする、笑っても上の歯が隠れていてよく見えない、老けた感じに見られるなどの症状です。
上くちびるが出ている
(上顎前突、出っ歯)
鼻の下が長い感じがする、下あごが引っ込んでいる、笑った時下の歯が隠れてよく見えない、噛んだ時に隙間があいているなどの症状です。
口が閉じない
(上下顎前突)
歯が前に出ていたり、噛んだ時に前歯にすきまが空いていたりして(開咬)、口が閉じないといった症状です。

笑うと歯ぐきが見える
(上顎過成長)
笑うと歯ぐきがたくさん見えてしまうのは、歯ぐきが長かったり、前に出ていたりする場合に起こる症状です。

 

口とあごが傾いている
(咬合傾斜)
正面から見るとくちびるの合わせが傾いていたり、顔が歪んでいたりする症状です。あごの骨の成長の左右差がある場合に起こります。

 

あごが引っ込んでいる
(小顎症)
下あごが小さい場合や、おとがいと呼ばれるあごの先端が小さい場合に現れる症状です。

診察のながれ

治療方針の決定には、正確な診断がもっとも大切です。
全ての方に対して、5つのステップからなる診断を行った上で、機能的・審美的にもっとも望ましい方法をご提案します。
ただ、最終的な治療方針を決定して頂くのは、手術を受けるご本人です。
治療期間、改善度、費用なども合わせてお考えの上、どのような方法をご希望されるかをお話しください。すべての方法において、最良の結果が得られるように、お手伝い致します
 



まずはお電話で予約をお取りください。


 
 
歯形模型、写真、セファログラム・レントゲン、パントモグラム・レントゲンなどの資料をとります。
専用ソフトを使ってセファログラムを解析し、咬合関係、顔面のバランスなどを分析します。
コンピューターによる側面顔貌のシミュレーションを行い、仕上がりのバランスをチェックします。
 
5分で収集した資料をもとに解析を行い、最適な治療方法をプランニングしますので、基本的な方針は、1回の診察でお示しいたします。
 
 
矯正治療が必要な場合は、続いて次のステップに進みます。
採取した歯形模型を、咬合器にセットアップし、咬合関係と顔貌の関係をチェックします。
解析結果をもとに、形成外科医と矯正歯科医により最終的なプランニングを行います。

最後に最適な治療法を含め、いくつかのプランをご提案します。
資料をお持ち帰りになり、ゆっくりご検討ください。

治療法

治療方法は大きくわけて、3つあります。
歯科矯正のみで行う方法、手術の前に矯正を行ってから手術を行う方法、そして手術を行ってから矯正を行う方法(サージェリーファースト)です。
その方の症状と、どこまでの改善をご希望されるか、またどのくらいの期間をご希望されるかによって、次の3つの中から選択していただきます。
 

歯科矯正のみで治療します

上下のあごの骨の大きさと位置に問題がない方の場合は、歯科矯正だけの治療をお勧めします。症状によりますが、期間は約2〜3年です。保険が使えることもありますが、前歯のでこぼこのように見た目だけの症状の時は、保険は使えません。

先に矯正をしてから手術をします

まずはじめに矯正装置を歯につけて、矯正を開始します。手術の時にぴったりとかみ合わせができるように、歯を移動していきますので、だんだんとかみ合わせは悪くなります。この術前矯正には、約1年から3年かかります。その後に手術をして、かみ合わせと顎の形を整えます。手術後も6ヶ月ほどの矯正治療が必要です。この方法の場合は、症状により保険が使えます。(なお当院では保険診療を行っておりませんので、保険を使う場合は、大学病院などの医療機関をご紹介する形になります)

まず手術を行ってから矯正をします(サージャリーファースト

まずはじめに手術を行い、上下の顎を理想的な位置に移動します。このため歯並びやかみ合わせは一旦悪くなりますが、あごの形や顔の印象はこの時点で改善します。その後に矯正を開始します。矯正治療は多くの場合、4ヶ月から12ヶ月で終了します。また取り外しのできる透明な矯正装置を使うことも可能です。
この方法は サージャリー・ファースト・アプローチ(Surgery First Orthognathic Approach: SFOA)とよばれる方法で保険は使えませんが、見た目が最初に改善され矯正期間が短いというメリットがあります。

手術方法の決め方

一つの症状に対しても、いくつかの手術アプローチがあります。
ここでは、反対咬合、下顎前突、上下顎前突、上顎前突、過蓋咬合、小顎症などの代表的な症状に対する手術方法のオプションを、見てゆきます。症例はこちらからご参考にしてください。


下あごが出ている (いわゆる下顎前突 反対咬合)の場合

オプション1: 下顎骨切りで下顎を後ろに下げます

下あごの形と、上あごの位置に問題がない場合に、適応になります。

オプション2: 下顎骨切りで下あごを後ろに、上顎骨切りで上顎を前に出します

症状が強い場合には、下あごだけの移動ではよい結果が得られないことがあり、その際は上下顎骨切り術が適応されます。

オプション3: 下顎骨分節骨切りで下の歯ぐきの一部を後ろに下げます

おとがいの位置に問題がなく、歯の唇側傾斜がある場合に適応になります。ただ抜歯が必要であることや改善の程度に制限があるので、適応になることは多くありません。とくにおとがいの位置が前方にある方には、おすすめしません。


口もとが出ていて、笑うと歯ぐきが見える (上下顎前突 )の場合

オプション1: 上顎骨切りで上あごを短くし、後ろに下げます

上あごを短くして、しかも後ろに下げることができるため、ほとんどの症例に適応でき、また変化の程度の調整が行いやすい術式です。口唇や鼻の不自然な変化が少ないため、安定してよい結果が得られます。

オプション2: 上顎骨分節骨切りで上あごを後ろに下げます

歯ぐきの位置が前に出ている場合に適応になります。しかし抜歯が必要なこと、歯の間の隙間が残りやすいこと、移動量に制限があること、後方への移動しかできないこと、鼻の形の変化が大きいことなどから、適応になる症例は限られています。

オプション3: 上顎骨切りで上あごを後ろに下げ、下顎骨切りで下あごを回転させながら前に出します

上顎の移動だけでは、かみ合わせの調整が困難な場合は、下顎骨切りと同時に行います。また下あごが小さく前に移動させた方が、顔貌の改善が得られる場合も、この方法の適応となります。


下あごが引っ込んでいて、首のラインとつながって見える。(小顎 上顎前突 過蓋咬合 )の場合

オプション1: 上顎骨切りで上あごを短くし、後ろに下げます。おとがい骨切りも併用することがあります

上あごを短くして、しかも後ろに下げることができるため、ほとんどの症例に適応でき、また変化の程度の調整が行いやすい術式です。口唇や鼻の不自然な変化が少ないため、安定してよい結果が得られます。おとがい骨切りも併用する場合があります。

オプション2: 下顎骨切りで下あごを前方に移動します

下あごが小さいので、前方に移動した方がよい場合があります。ただし下あごの前方移動は後戻りしやすいので、移動量が少なくてすむ場合に限られます。

オプション3: 上顎骨切りで上あごを後ろに下げ、下顎骨切りで下あごを回転させながら前に出します

上顎の移動だけでは、かみ合わせの調整が困難な場合は、下顎骨切りと同時に行います。また下あごがかなり小さい場合は、前に移動させた方が顔貌の改善が得られやすいため、この方法の適応となります。

手術方法の解説

治療法を最終的に決定するために必要な情報で、詳細な手術方法、リスク、入院期間、費用などがあります。
これらの情報を十分に比較して、どの方法があなたに最も好ましいものであるのかをお考えください。どのような方法であっても、最良の結果が得られるようにご協力いたします。

下顎骨切り術

移動の自由度が高く、固定性にも優れた方法です。下顎骨骨切り術専用に作られたプレートで固定するため、顎間固定が不要です。後方だけでなく、前方移動や回転も可能です。


 
計画に合わせてデザインをします

 
下顎骨を分割するように切ります

 
下顎骨を移動しプレートで固定します

上顎骨切り術

移動の自由度が高く、固定性にも優れた方法です。前方だけでなく、上方・後方移動や回転も可能です。




計画に合わせてデザインをします



上顎骨を切ります



上顎骨を移動しプレートで固定します

おとがい骨切り術

長いおとがいや、短いおとがいに適応になる術式です。前方および上方への移動は、皮膚軟部組織の応答もよいのでよく行われます。後方への移動は、軟部組織の反応に乏しいので思ったほどの効果が出ないことがあります。



計画に合わせてデザインをします


骨を切ってプレートもしくはワイヤーで固定します

上顎分節骨切り術

歯を抜き、生じたスペースを利用して前歯の6本前後を後方に移動する方法です。移動の自由度はあまり高くなく、後方への移動だけになります。


計画に合わせてデザインをします

上顎骨を部分的に切って移動し、プレートで固定します

下顎分節骨切り術

歯を抜き、生じたスペースを利用して前歯の6本前後を後方に移動する方法です。移動の自由度はあまり高くなく、後方への移動だけになります。



計画に合わせてデザインをします


下顎骨を部分的に切って移動し、プレートで固定します

術後ケアとフォローアップ

基本的に手術は安全に行われますが、まれに合併症が生じることがあります。
その場合でも、早期に適切な治療が行われれば、ほとんど問題なく治癒します。このため術後のケアは、治療に欠かすことのできない一連のものです。

術後経過

腫れ:手術後3日目くらいがピークで、その後少しずつ消退します。2週後で約8割方引きますが、むくみが取れるまで約半年かかります。
内出血:手術後4日目くらいまで、頬から首にかけて内出血が生じることがあります。約10日で消失し、残ることはありません。
感覚麻痺:術後に歯の感覚が麻痺しますが、4〜9ヶ月ほどで回復します。

合併症

感染:きわめてまれですが、親知らずが骨に埋まっている場合などに生じることがあります。抗菌薬や抜歯 プレート抜去などの適切な処置を行うことで、ほとんどの場合1−2週間以内で治癒します。
血腫:出血により血の塊が創の中にできることがあります。少ない量の場合は自覚症状はほとんどありません。多い場合はやや硬いしこりが1−2ヶ月残りますが、その後自然になくなって消えます。
プレートの脱落:きわめてまれですが、術後1〜2週の間に骨を止めたプレートがずれたり、脱落したりする場合があります。骨の安定性に応じて顎間固定、もしくは再手術によるプレート固定が必要になります。

後遺症

感覚麻痺:下顎骨切り術の場合にのみ、下唇から下あごにかけて一時的に感覚が麻痺することがあります(約30%)。4〜9ヶ月ほどで回復しますが、約3~5%の方で軽度の麻痺が残る可能性があります。この麻痺は服の上から皮膚を触られているような感じで、米粒がついてもわかりにくい、シェーバーがあたっているのがわかりにくい、コップに触れているのがわかりにくい、などの症状です。
形の変化:皮膚の緩みや鼻の形の変化など、骨の移動にともなう軟部組織の”あまり”が残ることがあります。これは個人差や年齢差、また骨の移動量によっても異なります。手術後に脂肪吸引などを行った方がよい場合もあります。