顔面の輪郭は,個人の表情を描く土台になります.絵画の額縁のようなもので,同じ絵でもフレームを変えると,少し雰囲気が違って見えてくる感じの変化が得られます.
これらは動きの少ない部分になりますので,実際の表情にはあまり関与しません.したがって目や口のように,嬉しい,悲しい,楽しい,怖い,辛い,わくわくといった表現をするのではなく,男性的,女性的,子どもっぽい,優しい,厳格,落ち着いた・・などといった気質を表現する部位です.
ですから,本当は優しいんだけど,いかつい顔なのでいつも怖がられてしまう,といった場合の解決には、このアプローチが有効かもしれません.
診察のながれ
治療方針の決定には,正確な診断がもっとも大切です.
全ての方に対して,X線を使った診断を行い,機能的・審美的にもっとも望ましい方法をご提案します.
- お顔,かみ合わせの状態を拝見します.
- レントゲン撮影をします.(コーンビームCT,セファログラム)
- レントゲン検査がすみましたら,専用ソフトを使って10分前後で解析を行い,顔面のバランスを分析します.
- 最後に,もっともお勧めする治療プランをお示しします.
- かみ合わせの治療が必要な場合には,矯正治療の有無も含めてご提案いたします.
治療期間,改善度,費用なども合わせてお考えの上,わからないことがありましたらご遠慮なくお尋ねください.どのプランにおいても,最良の結果が得られるようにお手伝い致します.
矯正治療が必要な場合は,提携の矯正歯科クリニックを受診していただきます.
手術方法の決め方
ひとつの症状に対しても,いくつかの手術アプローチがあります.
くわしくは レントゲン検査を行った上で,ドクターがご提示いたします.
頬骨について
頬骨の治療のときは 顔のなかで立体的に位置を捉えることが大切です.幅だけ・・・前方への出っ張りだけ・・といったように「2次元」「平面」でとらえて治療を計画すると,きれいな形には仕上がりません.
当院では 「メーラー・プラスティ」(頬骨形成術)といって
頬骨を「切って移動させる」「頬骨を削る」の両方を組み合わせた方法を行っています.
この方法は,どのような頬骨の状態にも対応できる,優れた方法です.
とくに頬骨セットバック骨切り術は,立体顔を創るためには,もっとも優れた方法になります.
エラ(下顎角)について
エラの治療では,「エラを削ってちいさくする」と考えるよりも,「きれいな形のエラを削り出す」というアプローチが大切です.
オトガイについて
オトガイの治療では,正面顔・横顔だけでなく 「斜めからの見え方」がとても大切です.また皮膚・脂肪・オトガイから首にかけての筋肉(オトガイ舌筋)の変化も予測した手術計画が重要です.
手術のリスクについて
基本的に手術は安全に行われますが,まれに合併症が生じることがあります.
その場合でも,早期に適切な治療が行われれば,ほとんど問題なく治癒します.このため術後のケアは欠かすことのできない,治療の一環とご理解ください.
腫れ:
手術後2日目くらいがピークで,その後少しずつ消退します.2週後で約8割かた引きますが,むくみが完全に取れるまで約半年かかります.
内出血:
手術後4日目くらいまで,頬から首にかけて内出血が生じることがあります.約10日で消失し,色が残ることはありません.
感覚麻痺:
術後に頬やおとがい部分の感覚が麻痺しますが,4〜9ヶ月ほどで回復します.
感染:
きわめてまれですが,生じることがあります.抗菌薬やプレート抜去などの適切な処置を行うことで,ほとんどの場合1−2週間以内で治癒します.
血腫:
出血により血の塊が創の中にできることがあります.少ない量の場合は自覚症状はほとんどありません.多い場合はやや硬いしこりが1−2ヶ月残りますが,その後自然になくなって消えます.
プレートの脱落:
きわめてまれですが,術後1カ月前後の間に骨を止めたプレートがずれたり,脱落したりする場合があります.骨の安定性に応じて再手術によるプレート固定を行うことがあります.
知覚鈍麻:
下唇から下あごにかけて一時的に感覚が麻痺することがあります(約30%).4〜9ヶ月ほどで回復しますが,約1%の方で軽度の知覚鈍麻が残る可能性があります.知覚鈍麻とは服の上から皮膚を触られているような感じで,米粒がついてもわかりにくい,シェーバーがあたっているのがわかりにくい,コップに触れているのがわかりにくい,などの症状です.
ゆるみによる形の変化:
皮膚の緩みや鼻の形の変化など,骨の移動にともなう軟部組織の”あまり”が残ることがあります.これは個人差や年齢差、また骨の移動量によっても異なります.手術後に脂肪吸引などを行った方がよい場合もあります.
顔の左右差:
もともとの顔の骨の形によっては,術後に顔の左右差が生じる場合があります.