上下顎骨切り術 ルフォー.SSRO,オトガイ骨切り
ご相談の内容をお聞きする
3次元的に複雑にゆがんだ顔面を、かみ合わせの改善とともに真っ直ぐにしたいとの主訴で来院されました。既往歴等に特別なことはありません.
ドクターがお顔全体を拝見する
噛み合わせに問題がある場合,矯正治療は必須です.
矯正を行わない場合,手術後のあともどりがおきやすくなります.
今回,提携した矯正歯科は 日本橋はやし矯正歯科 になります.
SureSmile というシミュレーション・ソフトを用いて 術後の矯正治療の計画を立てています.
サージェリーファースト・アプローチを成功させるためには 外科医と矯正歯科医がそれぞれの治療について 精通していることが大切です.
手術計画を立てる
上顎は左に2mm横移動、さらに右小鼻を中心に右を2.8mm短縮してカントを修正する。
加えて前歯を回転中心としてねじれの解消を図る。
下顎は上顎に合わせて術後適切な咬み合わせとなる位置に移動(右3mmセットバック、左6mm延長)。オトガイは6mm前進させる。
インフォームドコンセント
手術は 口腔内切開より上下顎骨にアプローチし Le Fort I型骨切り術,SSRO骨切り術,オトガイ形成術を行います.
骨切り後,上下顎を移動し,チタンプレートを用いて固定します.
創はすべて吸収糸で縫合します.顎間固定は行いません.
リスクとして最も可能性の高いものは,オトガイ神経麻痺であり,一時的(数ヶ月)には約80%,後遺症としては約1%の頻度です.また,感染,血腫,後出血,創哆開,非対称などがありますが,頻度は1%前後です.
非対称のケースでは、骨格を改善しても軟部組織量の違いに左右差が残ることがあります。その場合には術後に脂肪移植やフェイスリフトなどの施術が必要となることがあります.
手術記録
麻酔方法:全身麻酔(麻酔科専門医による)
手術時間:4時間25分
出血量:160 ml
術後6ヶ月目の検診です
縫合創の治癒,腫脹の消退も問題なく,オトガイ神経麻痺も回復しました.形態的にもよい結果が得られました.
手術前後のX線画像
まとめ
- 上下顎骨切り術症例の 診断 手術計画 術後経過をまとめました
- CTスキャンによる正確な診断と 専門医による手術で リスクは最小限に抑えることができます
- 噛み合わせの問題がある場合は,矯正歯科医との緊密な連携が必須です