エラとオトガイの骨切り術
ご相談の内容をお聞きする
幅広く大きい目立ったアゴを,すっきりさせたい,との主訴でご来院されました.
これまでに輪郭に関する治療は受けておられません.また既往歴等に特別なことはありません.
ドクターがお顔全体を拝見する
お顔全体のプロポーションについては,大きな問題はありません.
訴えのアゴの大きさについては,下顎角部の角度はほぼ平均値ですが,オトガイ幅がやや大きい状態です.軟部組織(皮膚,皮下脂肪)の状態は良好で問題ございません.
3DCTを撮影し顔面骨の評価をする
顔面骨の手術ですので,CTスキャンなどレントゲン撮影は必須です.
ここでは3DCTによる所見を述べます.
セファログラム分析をする
標準形との比較評価は,バランスを整えるためには大事なステップです.
シミュレーション画像を作成する
ご本人の希望とCTデータや分析値から,シミュレーション画像を作成します.患者さんと外科医が,仕上がりのイメージを共有することは,手術を成功に導く上でもっとも大切なことです.
手術計画を立てる
イメージの共有ができたら,実際の手術の計画を立てます.熟練した外科医であれば,患者さんの皮膚・皮下脂肪の状態を織り込んだ上で,骨をどれくらい削ればよいのかを,割り出すことができます.(もちろん完璧に読み切ることはできませんが・)
詳細な解剖を確認する
安全な手術には,個体差のある解剖について,入念な確認作業が必須です.
ここでは,下顎骨の中を通る下歯槽神経の位置について,確認しています.
インフォームドコンセント
手術は 口腔内切開より下顎骨にアプローチし 専用の機器を用いて 下顎角からオトガイまでの下顎下縁 および下顎体部の外板を切除する.下歯槽神経およびオトガイ神経は 愛護的に保護する.
骨切除後は ソフト凝固装置で十分な止血を行い 血腫予防のため吸引ドレーンを留置する(ドレーンは帰宅前に抜去する).創部はすべて吸収糸(バイクリルラピッド)で縫合する.
リスクとして最も可能性の高いものは,オトガイ神経麻痺であり,一時的(数ヶ月)には約80%,後遺症としては約1%の頻度である.また,感染,血腫,後出血,創哆開,非対称などがあるが,頻度は1%前後である.
軟部組織の弛みはかならず生じるが,整容的に問題となる可能性は低いと思われる.弛みは脂肪吸引,高周波照射などで軽減が可能である.
手術記録
麻酔方法:全身麻酔(麻酔科専門医による)
手術時間:109分
出血量:117 ml
術後経過:手術終了1時間後から,飲水をはじめる.問題なく摂取.疼痛は自制内で,腫脹も軽微.3時間後,バイタルに問題なく,術後出血も35 mlのため帰宅可とする.
術後1週目の検診
7日目に術後検診をおこないます.創部の感染や血腫の有無,腫脹の程度,経口摂取の状況などを確認します.
術後5ヶ月目の検診
創部の引きつれやオトガイ神経麻痺の回復状況,左右非対称や骨の不整などをチェックします.
術後のCT撮影
神経管の状況や骨の不整などを確認します.
まとめ
- エラ/オトガイ(下顎骨形成術)の症例の 診断 シミュレーション 手術計画 術後経過をまとめました
- CTスキャンによる正確な診断と 専門医による手術で リスクは最小限に抑えることができます
費用
エラ骨切術,オトガイ骨切術(Vライン),全身麻酔,検査 合計 ¥1,355,750 (目隠しモニター価格)